Y先生は私の中学の時の美術の科目の先生でし
た。
田舎の中学に赴任された頃はまだ独身で、その中
学に在職中に保健室の美人の先生と結婚されまし
た。
数年前、中学の同窓会を開催した時に出席いただ
いて、その後個展の案内をいただき、見せていただ
いたことがあります。退職後、毎年1回はヨーロッパ
にスケッチ旅行に出向き、その時描いた絵の発表
会でした。
毎年年賀状は差し上げていたのですが、昨年、先
生からのはがきに
「一昨年家内を亡くし、まだ一周忌も来ないうちに、
自分が胃がんになって手術をしました。おかゆを食
べながら、長崎の教会の絵を描いています。今度個
展をしますので、案内状を差し上げます。」
と書いてありました。
その個展の案内状をいただきましたので「コクラヤ
ギャラリー」に出かけました。長崎の方はご存知だ
と思いますが、メガネ屋さんが2階、3階をギャラリ
ーとして貸しているんです。
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会場は30点ほど、本当に長崎の教会の絵ばかり
です。
「長崎県の教会群」を世界遺産に登録する運動に協
力する意味も兼ねて開いたそうです。油絵と水彩
画。水彩画は本当にやさしい印象の絵です。
先生はもともと細い方だったんですが、おかゆの生
活なのでまた少し、スリムになられましたね。
でも声はお元気で、知り合いの来場者と元気に話を
されていました。私が伺ったのは土曜日の午後だっ
たのですが、来場者も多かったです。
いつも私も考えているんですが、何年か先で一人暮
らしになります。そんな日が来るのは確実です。
その時病気をしたらどうなるんだろう!病院へ持っ
ていくものの準備、退院してからの養生。ひとりでで
きるのか、とても不安ですね。
でもこのY先生、現在80歳なんです。奥様を亡くさ
れた後に胃がんの手術をして、家事も一切ご自分
でやり、スケッチにも出かけ、地域の人に絵を教え、
子供たちには囲碁の指導もされているみたいです。
「やろうと思えばどうにでもなるんだな。」と感じまし
た。弱音は吐けませんね。
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