商環境プロデューッサー
上原寛一郎さん
=長崎市出身
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〈デザイナー、プロデューサーとして大型店舗などの企画・設計に
長く携わる傍ら、世界各地のクリスマスの風景をカメラで追い続け
てきた。昨年末には東京・六本木の「東京ミッドタウン」にあるフジ
フイルムスクエアで作品展「物語のあるクリスマス」を開催。昨年オ
ープンしたばかりの東京の新名所の"ファーストクリスマス"に彩り
を添えた〉
−商環境プロデューサーとは。
一言で言えば、商品やブランドをどう見せ、どう売るか−を企画
し、提案する仕事。百貨店や専門店、ショッピングセンターなどの
ディスプレーや店舗デザインなどを手掛けてきた。会社に所属して
いることが必ずしも必要な仕事でもないので、定年を迎える少し前
の昨年一月、独立して個人事務所をおこした。
−世界のクリスマスを撮り始めたきっかけは。
記録や資料集めの意味から、写真とデザインは切り離せない関
係にある。クリスマスの時期は、デコレーションやイルミネーション
で街が一番華やかに彩られる季節。お店にとっても書き入れ時
だ。世界中のクリスマスを自分の目で見よう、やるなら徹底的にや
ろう、と考え、世界一周6回、北米横断2回、欧州一周5回と、14
年間で、18力国、51都市を回った。
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−作品展を開いた感想を。
それぞれの街にそれぞれの過ごし 方があることを分かってもら
えたと 思う。宗数的な意味が大きいヨーロッパのクリスマスはや
はり伝統的なスタイルだし、神棚と仏壇とクリスマスツリーが同居
している日本のクリスマスは逆に、とても華やかで自由だ。南半球
のクリスマスは真夏にやってくる。サンタクロースもTシヤツ姿だ。
構図やライティングのクオリティーを追求するだけでなく、いろいろ
駆けずり回りながら、目に入る風景や人々をどんどん撮った。だか
ら「ああ、きれいだな」という写真ばかりではないかもしれないが、
クリスマスを迎える土地の喜びとか、臨場感のようなものは伝わっ
たかな、と思う。会期中の週末やクリスマスイブには会場がぎっし
り埋まった。見てくれた人に「あ、ここ行ったことある」とか「行って
みたいね」などと会話の材料を提供できたことがうれしい。他の写
真展に比べ、会場に足を止めてくれる時間も長かったようだ。
‐ふるさとへの思いを。
独特の歴史と文化がある街なのだが、「開発」とか「発展」という
形で、実はその魅力を失ってしまってはいないか、と考えることが
ある。大浦天主堂のそぱに、天主堂を模した形の土産物店があっ
たりして・・・。きちんとしたグラウンドデザインを持っていないと、街
の魅力はどんどん崩れてしまう。
九州の西の端で、確かに「遠い街」なのだが、「遠さ」から生まれ
る魅力もあるはずだ。守るべきものをきちんと守る、そんな視点を
大切にしてほしい。
(東京支社)
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